代表理事挨拶

我が国において循環器病はがんに次いで死因の第2位であり、生活習慣の欧米化と高齢化により患者数も増加してきました。

我が国の循環器医学を推進する団体として日本循環器学会は1935年に設立され、学術集会の開催や学術誌の発行、専門医の育成、ガイドラインの作成など、我が国の循環器医学の発展に大きく貢献してきました。

また日本循環器学会と経団連によって1970年に作られた日本心臓財団は、循環器病を克服するために研究の助成、予防啓発を行ってきました。

しかし我が国の急速な超高齢化により、循環器病の患者数、死亡者数は急増しており、循環器病の克服には新しい活動が待望されています。そのような中、2016年12月日本循環器学会は、日本脳卒中学会並びに多くの関連学会と共同で「脳卒中と循環器病克服5カ年計画」を策定し、2018年12月には国が「脳卒中・循環器病対策基本法」を成立させました。2020年10月、同法に基づいて「循環器病対策推進基本計画」が作成されたのを受け、今後は各都道府県において推進計画が作成され実行されていくことになっています。

「5か年計画」の5戦略の一つであり、「基本計画」の3つの重要施策の1つが循環器病の予防です。循環器病のがんと大きく異なるところは、循環器病の多くは高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病から発症するため日常の生活習慣が大きく影響するという点です。つまり循環器病は予防が可能であり、それゆえに国民に循環器病ならびにその予防法について知っていただく意義が大きいのです。

一人でも多くの国民に知っていただくためには、より市民に近い距離での情報発信が重要であり、また重症化予防のためには患者やその家族のサポートも必要です。さらにがんは研究が進んだことによって“治る”時代に入りました。循環器医療は日々進歩しているとはいえ、いまだに治すことのできない多くの疾患があります。循環器病に関しても研究を推進することによって“治す”ことを可能としなければならず、そのためには今まで以上に産官学の連携を進める必要があります。

こうした国内の循環器医療の現状に鑑み、日本循環器学会ならびに日本心臓財団と連携し、学会と国民、患者・家族、そして自治体や企業との架け橋となるプラットフォームとして、ここに「一般社団法人日本循環器協会」を設立いたしました。一人でも多くの人が循環器病にならないように、また循環器病で苦しむ人が一人でも少なくなるように日本循環器協会は皆さんと一緒に活動していきたいと考えています。

皆様のご理解とご支援をいただければ幸甚に存じます。

2021年6月

一般社団法人日本循環器協会 代表理事
東京大学大学院医学系研究科循環器内科学 教授
小室一成

協会概要図