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虚血性心疾患

目次

    虚血性心疾患とは、心臓の筋肉に血液を送る血管(冠動脈)が狭くなり、心臓の一部が栄養不足になる病気の総称です。日本では心臓による死因が癌に次いで2番目に多いですが、その約半数が虚血性心疾患ですので、心臓の病気の中でも多く遭遇する病気です。虚血性心疾患で覚えておくべき点は、① 予防 ② 速やかな検査・治療 ③ 再発防止 の3点です。虚血性心疾患について正しく知り、正しく対処しましょう!

    なぜ虚血性心疾患は起きるのでしょう?

    虚血性心疾患は、冠動脈が狭くなる「狭心症」と冠動脈が詰まってしまう「心筋梗塞」の2つが代表的です。「狭心症」も「心筋梗塞」も生活習慣病である動脈硬化が原因ですが、違う点は緊急性です。狭心症と比べて、心筋梗塞は一分一秒を争う病気で、緊急の治療が必要です(最初の6時間における治療が命運を分けます)。高血圧症・高コレステロール血症・糖尿病・喫煙・肥満・心筋梗塞の家族歴が危険因子であり、これらを放置すると虚血性心疾患になるといわれています。

    では、どうしたら予防できるでしょうか?

    虚血性心疾患の予防には「2つ」のポイントがあります。1つ目は動脈硬化、つまり生活習慣病に気を付けることです。生活習慣病を放置すると、粥腫(アテローム)と言われる血管内のゴミによって狭窄が生じます。その為、積極的に動脈硬化の原因となる生活習慣病を予防・治療することが大事です。2つ目は、心筋梗塞を未然に防ぐことです。粥腫の形成によって血管が狭くなると、狭心症による症状が出てきます。その粥腫を放置すると、ある時点で粥腫が破れて内部のゴミがあふれ出し、かさぶたを作るように心筋梗塞がおこります。心筋梗塞を未然に防ぐために、狭心症を疑う症状があれば速やかに病院を受診することが大事です。狭心症の代表的な症状は「胸が痛い」「締め付けられる」などの胸の症状の他、「みぞおちが痛い」「喉・歯の痛み」「肩から腕のしびれ・痛み」として感じることがあります。動いたときやストレス時に痛みを感じ、数分で改善するのが狭心症の典型的な症状です。一方で、発作時間が長くなった、頻度が増えてきた、冷や汗を伴うようになってきた、という場合は心筋梗塞の危険な前兆です。速やかに救急車を呼んで病院を受診しましょう!

    どういう検査があるの?

    虚血性心疾患は何より問診が重要です。そして心電図や血液検査などの基本的な検査を行います。疑わしい場合は、運動をした状態の心電図(運動負荷心電図)や心筋シンチグラム・冠動脈CT/MRIなどの外来検査、さらには入院して行うカテーテル検査があります。

    狭心症や心筋梗塞になってしまったら、どうしたらいいのでしょうか?

    速やかに病院を受診し、治療をすることが何よりも大事です。先ほども説明した通り、心筋梗塞は特に一刻を争う病気で、できるだけ早く詰まった血管の血流を改善させることが必要です。治療には、風船やステントで血流を改善させるカテーテル治療や外科的に他の血管から血流を補うバイパス手術があります。狭窄した血管の状態によって、心臓専門の循環器内科・心臓外科が適切な治療を選択します。

    最後に、重要な再発防止についてお話をします。

    「一度虚血性心疾患になった人は繰り返す」といわれています。なので、再発防止は極めて大事です。予防のために、生活習慣病の管理が重要と述べましたが、これは再発防止においても重要です。運動や食事の管理、また内服治療でより厳格に生活習慣病の管理を行いましょう。また虚血性心疾患になった人、特にステント治療をした人は血をサラサラにする薬を長期的に内服しなくてはいけません。この薬をやめてしまうと、せっかく治療がうまくいっても、ステントの中が詰まるリスクがあります。さらに心筋梗塞になった人は、傷んだ心臓の筋肉を保護する薬を飲むことがあります。このように再発防止に関しては、生活習慣病のコントロールと内服継続が最も大事ですので、忘れないようにしてください。

    虚血性心疾患のポイントは

    ① 生活習慣病の予防、心筋梗塞の予防が大事!
    ② もし虚血性心疾患を疑ったら、速やかな検査・治療を!
    ③ 一度なった人は繰り返す!正しく再発を防止しよう!

    の3点です。是非覚えておきましょう!

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