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循環器病を正しく知ってほしい。
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循環器病ってどんな病気?

目次

    身体のどこが『循環器』?

    循環器とは血液が循環する器官を意味します。すなわち、心臓と血管が循環器にあたります。心臓がポンプとして血液を押し出し、心臓→動脈→全身の臓器→静脈→心臓という順番で血液が全身の血管をぐるぐる回る(循環する)から循環器と呼ばれています。血液・心臓・血管・臓器の関係は、水耕栽培で循環する水・ポンプ・パイプ・野菜の関係に似ています。水・ポンプ・パイプのどれを失っても、野菜は枯れてしまいますね。

    『循環器病』とは

    循環器病とは循環器の病気、すなわち心臓と血管の病気のことです。具体的には心臓(ポンプ)そのものの病気と、脳/心臓/肺/手足の動脈(パイプ)の病気が主な循環器病です(図)。図式で書くと「循環器病 = 心血管疾患+脳卒中」です。

    脳の血管の異常で起きる脳の病気を「脳卒中(のうそっちゅう)」と呼びます(図の④)。これは脳出血、くも膜下出血、脳梗塞の3つの病気が有名です。同様に心臓を栄養する血管が原因の場合、「虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)」と呼びます(図の②)。狭心症と心筋梗塞の2つが有名ですね。

    上記の脳梗塞と心筋梗塞は両方とも動脈が詰まって血流が遮断される病気です。血流が来ないのでその部分の組織は死んでしまいます。これを梗塞(こうそく)と呼びます。パイプが詰まって水流が止まった部分の野菜が死んでしまう水耕栽培をイメージしてください。

    血管が詰まってしまうという意味では、脳梗塞と心筋梗塞はまったく同じ仕組みの病気です。そして両方とも命に関わる恐ろしい病気という意味でも同じと言えます。

    しかし、症状は全く異なります。具体的には、脳梗塞の主な症状は「手足や顔の麻痺」、心筋梗塞の主な症状は「胸痛」が起こります。これは、それぞれの臓器が違う役割を果たしているからですね。

    血管の病気が起こるのはなぜ?予防は難しい?

    答えは「予防できる!」です。なぜなら循環器病における血管の病気の多くは「動脈硬化」が原因で、動脈硬化は予防できるからです。動脈硬化とはその名の通り動脈が固くなった状態のことですが、実際には硬いだけではなく、細く粗く詰まりやすくなります(内部まで錆びたパイプのように)。この動脈硬化の原因は、生活習慣病(高血圧、糖尿病、コレステロール)と喫煙です。これを予防すれば、循環器病の多くは予防できることになります。
    それでは、このような循環器病についてもう少し深く学んでみましょう。

    自分で気づく循環器病の症状(受診の手引き)

    あなたの気づきが、あなた自身やあなたの大切な人の命を救います。
    循環器病の多くには前兆があります。前兆で気づいて病院を受診さえすれば、後遺症なく助かることが多いのが循環器病。だから、「こんな症状が出たら受診」と予め知っておくことがとても大切です。

    また、時には前兆なく突然、脳梗塞や心筋梗塞が起こることがあります。そのようなとき、患者本人は何も対処ができないことが多く、周りの誰かがサポートする必要があります。さらにいえば、重篤な症状が出ているにも関わらず本人が気づいていない、というケースもよくあります。このようなとき、あなたの気づきと声がけが患者の命を救うことになります。

    あなたの命を救うのも、あなたの大切な人の命を救うのもあなた自身なのです。

    脳卒中のサイン

    あれ?”突然”ろれつが回らない。言葉が出ない。片手がうごかない?
    突然起こるこのような症状は脳卒中のサインです。
    言葉を発したり手足を動かしたりするとき、脳がそのように司令を出します。このため、言葉を考える脳の部分や、口や舌を動かす脳の部分に血液が突然流れなくなるとうまく話せなくなります。手足を動かす脳の部分であれば、手足の麻痺が生じます。これが脳卒中の症状です。軽症の場合は数分で自然に改善しますが(一過性脳虚血発作:TIA)、早急に治療しない場合、多くはそのまま麻痺が残り、重症の場合には死亡に至ります(脳梗塞、脳出血)。後ろからバットで殴られたような、突然の激しい頭痛が生じる場合はくも膜下出血を疑います。これも救急車をすぐに呼んでください。合言葉は「FAST(早く)!」です。

    狭心症のサイン

    運動するといつも胸が締め付けられるような症状が出る。休むとスーッとよくなる。
    階段を登ったり早足になったりするときに限って起きるこのような胸の症状は、狭心症のサインです。
    狭心症は、心臓を栄養する血管(冠動脈といいます)が狭くなることで血流が制限され、その名の通り「胸が狭くなったような痛み(狭心痛)」が出る心臓の病気です。人によっては「押される感じ」と表現します。なぜ運動するときに限って出現するのでしょう?その理由は、運動すると心拍数が上がるから。心拍数が上がるということは心臓がより多くのエネルギーを消費しているということですが、ここで冠動脈が狭いと血流が制限され十分なエネルギーが得られなくなります。その結果、心臓が悲鳴を上げて狭心症を出現させるのです。

    心筋梗塞のサイン

    運動と関係なくこの症状が突然激痛として出現する場合は心筋梗塞のサインです。一時的に自然に改善することもありますが、そうだとしても放置すれば命を奪われる可能性が高い緊急事態です。すぐに救急車を呼びましょう。

    心不全のサイン

    最近は階段で息切れがひどく同級生に遅れをとる?足のむくみも出ている?
    これは心不全のサインか肺の病気のサイン。

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