心臓の病気の知恵袋

会員様のお悩みやご相談に医療者がお答えします。

Q
健診で「右脚ブロック」を指摘されました。
何も症状がありません。放置しても大丈夫な病気でしょうか?

A

よく認められる心電図の変化で、無症状なことが多いです。「右脚」ブロックは、治療が不要なことが多いのに対して、「左脚」ブロックには注意が必要です。

心臓は自動的に動いています。その仕組みは、まず、心臓の上側にある発電所(洞結節)が規則的に発電しています。次に、心臓全体に走っている電線を介して、心臓全体に電気興奮が伝えられます。電気興奮が伝わると、心臓の筋肉がグッと縮んで、血液を全身に送り出すわけです。
心臓は、肺に血液を送る右側(右心室)と、全身に血液を送る左側(左心室)に分けられます。右脚ブロックは右心室の電気の通りが悪い状態、左脚ブロックは左心室の電気の通りが悪い状態です。

もともと、右脚は左脚よりも電線が細いために、通りが悪くなりやすく、健康な人にも数パーセントで認められ、治療が必要になることがほとんどないです。一方の左脚ブロックは、全身に血液を送る左側の障害であり、何らかの心臓疾患を有している可能性があるため心臓の検査を受ける必要があります。
精密検査で必要になるのは、心エコー(超音波検査)です。街のクリニックでもできることが多いので、ぜひ問い合わせてみて下さい。

なお右も左も両方が完全に伝導しない状態を「完全房室ブロック」と呼びペースメーカが必要な病気です。右脚/左脚ブロックのいずれも完全房室ブロックの前兆ではありませんから、心配しすぎずに、担当の先生に診てもらいましょう。

2022年11月28日
山形大学第一内科 循環器内科専門医 有本貴範

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