心臓の病気の知恵袋

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  • 健康診断で心電図の異常を指摘され、「肥大型心筋症の疑いがある」と言われました。肥大型心筋症とはどんな病気なのでしょうか? 放っておくと危険なのか、日常生活で気をつけることがあるのかなど、とても不安です。

Q
健康診断で心電図の異常を指摘され、かかりつけ医から「肥大型心筋症の疑いがあるので循環器専門医で詳しい検査を受けてください」と言われました。
肥大型心筋症とはどんな病気なのでしょうか?
今のところ自覚症状はほとんどありませんが、放っておくと危険なのか、日常生活で気をつけることがあるのかなど、とても不安です。

A

「肥大」というのは、心臓の筋肉が必要以上に厚くなってしまうことを指します。 通常、高血圧や弁の病気などがあると、心臓はそれに対抗しようとして、筋トレをした時のように筋肉が厚くなります。しかし、そうした原因がほかにないにもかかわらず、心臓の筋肉が厚くなってしまう場合があり、これを「肥大型心筋症」と呼びます。 その原因の多くは体質(遺伝的な要因)によるものと考えられており、ある日突然、急に起こるような病気ではありません。

肥大型心筋症で心臓の筋肉が厚くなると、主に次の2点が問題になります。

  1. 心臓が広がりにくくなること: 筋肉が硬くなってうまく膨らめず、血液を十分にためられないため、送り出せる血液の量が減ってしまいます。
  2. 血液の出口が狭くなること: 厚くなった筋肉が邪魔をして、心臓から血液が出ていきにくくなることがあります。

この病気は人によって状態が大きく異なり、服薬なしでもほとんど症状がないまま過ごされている方も少なくありません。しかし、中には自覚症状が強く出たり、重い合併症を引き起こしたりする方もいらっしゃいます。また、「少し息苦しいけれど、年かな?」というように、無意識に生活のペースを落とすことで、症状に気づいていないケースも見受けられます。

早めに専門医で正しく診断を受け、将来のリスクを評価しておくことで、安心して生活するための方針を一緒に立てることができます。過度に心配しすぎず、日常生活の注意点などで分からないことがあれば、いつでも遠慮なく私たち医師に相談してくださいね。

Q. 肥大型心筋症と診断され、少し動いただけでも息切れがひどく、日常生活に支障が出ています。
肥大型心筋症の息切れに対して、どのような治療方法があるのでしょうか?
薬でよくなるのか、手術が必要になることがあるのかも知りたいです。

A. 肥大型心筋症による「息切れ」の原因はいくつかありますが、その多くは、心臓がリラックスして広がりにくいことや、血液の出口が狭くなっていることにあります。特に、心臓の出口が狭くなることで息苦しさを感じる患者さんが多くいらっしゃいます。

これに対しては、まずはお薬による治療から始めていきます。これまで使われてきたお薬(ベータ遮断薬、カルシウム拮抗薬、ナトリウムチャネル遮断薬など)に加えて、最近では「マバカムテン」という、心臓の筋肉に直接はたらきかける新しいお薬が日本でも使えるようになりました。このお薬は、従来のもの以上に心臓の出口の狭さを改善し、自覚症状を軽くしてくれる効果が期待されています。

もしお薬だけで十分な効果が得られない場合で、特に出口が狭くなっているタイプの方には、カテーテル治療や手術によって筋肉の厚みを調整する方法を検討することもあります。

また、お薬や処置だけでなく、日常生活で無理をしない工夫をしたり、自分に合った運動量を見直したりすることも、とても大切です。

治療法は、患者さんお一人おひとりの症状や心臓の状態によって異なります。専門医と一緒に相談しながら、あなたに最適な治療を選んでいきましょう。息切れを「これくらいなら……」と我慢せず、つらさを正直に伝えていただくことが、より良い生活への第一歩になります。

高知大学 老年病・循環器内科学
教授 北岡裕章

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